死亡事故
被害者のご遺族がすべきこと
交通事故によって被害者がお亡くなりになられた場合,被害者の被った損害の賠償請求権は,通常,ご遺族が相続することになります。
そうなると,ご遺族は,葬儀,四十九日法要といった死後の対応に加え,加害者側の保険会社と賠償金の示談交渉を行わなければなりません。
保険会社との示談交渉は,通常,四十九日法要を終えた後から行われます。
死亡事故で請求できる損害項目
請求できる項目には,大きく分けて①積極損害,②消極損害,③慰謝料の3つがあります。
積極損害とは,実際に掛かった費用のことをいいます。
例えば,治療費,入院雑費,葬儀代,ご家族の駆け付け費用などが積極損害に含まれます。
消極損害とは,事故に遭わなければ得られたであろう利益のことをいいます。
例えば,休業損害,逸失利益などが消極損害に含まれます。
特に,逸失利益は金額が大きくなることが多いため,注意が必要です。
慰謝料とは,被害者の被った精神的苦痛に対する補償のことをいいます。
死亡事故の場合には,死亡慰謝料,事故日から亡くなる日までの入院慰謝料が賠償されるのが通常です。
さらに,ご遺族のうち,被害者の父,母,配偶者,子については,固有の慰謝料が賠償されます(民法711条)。
死亡事故の注意点
死亡事故における示談交渉をする際には,以下の3つの点に注意する必要があります。
①示談を急がない
死亡事故の加害者は,自動車運転過失致死罪により検察官に起訴される可能性があります。
起訴されると,加害者には,懲役刑などの重い刑罰が科される可能性があります。
もっとも,加害者と被害者遺族との間に示談が成立していると,裁判所は,その事情を加害者側にとって有利に斟酌し,刑罰を軽くする傾向にあります。
そのため,加害者側は,早期に示談しようと動いてきます。
ご遺族としては早期の示談に応じる必要はございませんので,示談は急がない方が良いです。
②事故状況に関する証拠を集める
死亡事故の場合,過失割合が問題になることが多いです。
というのも,死亡事故の場合には被害者自身が事故状況を説明できないため,加害者側の主張する,加害者側にとって有利な事故状況によって過失割合が決められてしまうことがあります。
そうならないため,ドライブレコーダー,目撃者の証言,実況見分調書などの証拠を集めることが重要です。
③保険会社の提案する示談金を鵜呑みにしない
死亡事故の場合,加害者側の保険会社の支払うべき賠償金は多額になるため,保険会社はできる限り賠償金を抑制しようと考えます。
これに対して,ご遺族は保険会社の提案する示談金が妥当かどうか分からないことが多いため,ご遺族の多くは,保険会社の提案する低い金額での示談に応じてしまっているのが現状です。
被害者参加制度での刑事裁判への参加
ご遺族が被害者参加制度を利用することにより,加害者の刑事裁判に参加して,意見を述べたり,加害者に質問したりすることができます。
死亡事故が起きると,警察官が捜査を開始して,加害者の取り調べ,実況見分などを行います。
そして,捜査の結果に基づいて,検察官が加害者を起訴するかどうかの判断をします。
検察官が加害者を起訴すると,加害者は刑事裁判にかけられます。
被害者参加制度を利用することによって,刑事裁判において,被害者の無念やご遺族の想いを訴えることができます。
当法人では,刑事裁判でのアドバイスや被害者参加のサポートもしております。
弁護士法人心への相談
当法人には,交通事故に精通した弁護士が数多く在籍しております。
死亡事故の賠償金は多額であるため,どの金額で示談するのか,慎重に検討した方が良いです。
交通事故に関しては,電話相談,テレビ電話相談も承っているため,長崎の方もお気軽にご相談いただけます。
長崎にお住まいの方で,死亡事故に強い弁護士をお探しの方は,ぜひ当法人にご連絡をください。