高次脳機能障害による慰謝料
慰謝料の種類
交通事故の被害者が高次脳機能障害を負ってしまった場合,相手方保険会社から支払われ得る慰謝料には,入通院慰謝料,後遺障害慰謝料,近親者固有の慰謝料の3種類があります。
慰謝料の金額は,入通院期間,認定された後遺障害等級によって,大きく異なります。
入通院慰謝料について
被害者側が弁護士に依頼している場合,相手方保険会社は,裁判所基準に従って入通院慰謝料の支払いに応じることが多いです。
具体的には,損害賠償額算定基準(通称「赤い本」)に掲載されている,別表Ⅰという基準を用いることが多いです。
例えば,事故日から症状固定日までの6か月間,ずっと入院治療しているという場合,別表Ⅰによれば,入院慰謝料は244万円となります。
これに対して,被害者側が弁護士に依頼していない場合,相手方保険会社は,任意保険基準という保険会社独自の基準に従って入通院慰謝料の支払いに応じることが多いです。
任意保険基準は裁判所基準よりも入通院慰謝料が低額になるよう設定されていますが,被害者側としては,相手方保険会社の提案する入通院慰謝料が妥当な金額かどうか分からないので,そのまま低い金額での示談に応じてしまっていることも多いです。
後遺障害慰謝料について
後遺障害慰謝料は,認定された後遺障害に応じて支払われる金額が変わります。
赤い本によれば,後遺障害等級1級1号の場合は2800万円,2級1号の場合は2370万円,3級3号の場合は1990万円,5級2号の場合は1400万円,7級4号の場合は1000万円,9級10号の場合は690万円とされています。
高次脳機能障害について適切な後遺障害等級認定を受けるためには,脳外傷の事実の立証に加え,どのような症状が残存しているのかを適切に把握し,主張することが重要になります。
不適切な後遺障害が認定されてしまうと,後遺障害慰謝料の金額が大幅に減ってしまいます。
さらに,後遺障害慰謝料にも任意保険基準があり,被害者側が弁護士に依頼していないと,相手方保険会社は,任意保険基準による低額な後遺障害慰謝料しか支払わないことが多いです。
近親者固有の慰謝料について
高次脳機能障害によって寝たきりになってしまった,意思疎通もほぼできなくなってしまったなど,被害者に重度の症状が残存してしまった場合,近親者にも固有の慰謝料が認定されることがあります。
例えば,高次脳機能障害によって1級1号が認定された25歳男性について,父母にそれぞれ500万円の近親者慰謝料を認定した裁判例があります(横浜地裁平成20年3月28日判決)。
しかし,相手方保険会社は,基本的に,被害者側に弁護士が付いていない場合には近親者固有の慰謝料の支払いには応じません。
そのため,交通事故を得意とする弁護士に依頼したうえで,陳述書などにより,事故の苦しみ,日常生活への支障をしっかりと主張・立証していくことが大切です。
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