高次脳機能障害による逸失利益
高次脳機能障害による逸失利益は高額になる
交通事故で高次脳機能障害となってしまった場合,記憶力の低下,意欲の低下,感情コントロール力の低下などの症状により,生涯にわたって仕事に大きな支障が生じることがあります。
そのような支障により失われるであろう将来の収入を補償するものが,逸失利益です。
高次脳機能障害による支障は大きく,一生涯にわたって続くことが多いため,その分,逸失利益の金額も大きくなることが多いです。
逸失利益の計算方法
逸失利益は,「基礎収入 × 労働能力喪失率 ×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」によって計算します。
基礎収入とは,事故当時,被害者の得ていた年収のことです。
労働能力喪失率とは,事故によって仕事に支障が出た割合のことです。
自賠責保険では,後遺障害等級に応じた労働能力喪失率が定められており,実務上,その喪失率に従って示談交渉をすることが多いです。
例えば,後遺障害等級1級の労働能力喪失率は100%,9級は35%と定められています。
労働能力喪失期間は,高次脳機能障害の場合,一般的には67歳までとされています。
逸失利益は,将来得られるであろう時期以前に全額の所得を補償するものなので,その時期までの利息を控除しないと,被害者はその時期までの利息を別途得ることになります。
そうならないよう,その利息分を逸失利益から控除するための数値を,ライプニッツ係数といいます。
逸失利益の具体的な計算は,以下のとおりです。
例えば,年収600万円の30歳の方が,交通事故により後遺障害等級1級と認定された場合,逸失利益は,1億3240万3200円となります(計算式:基礎収入600万円 ×労働能力喪失率100% ×67歳まで37年分のライプニッツ係数22.1672=1億3240万3200円)。
年収600万円の30歳の方が,交通事故により後遺障害等級9級と認定された場合,逸失利益は,4655万1120円となります(計算式:基礎収入600万円×労働能力喪失率35%×67歳まで37年分のライプニッツ係数22.1672=4655万1120円)。
なお,上記はいずれも法定利率を5%とした場合のライプニッツ係数を用いており,法定利率が変更された場合には,ライプニッツ係数も変更されるため,結果の金額が異なることがあります。
弁護士法人心に相談
このように,認定される後遺障害等級によって,逸失利益は大きく変わります。
不適切な後遺障害等級が認定されてしまうと,それだけで逸失利益は大きく減少してしまいます。
そのため,特に高次脳機能障害の場合には,早いタイミングで交通事故を得意とする弁護士に相談することが大切です。
当法人には,交通事故を中心的に扱っている弁護士が多数在籍しています。
交通事故に関しては,電話,テレビ電話での相談も無料で承っておりますので,お気軽にお問い合わせください。